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【2000年9/21〜9/29初めての海外一人旅】7日目|バンコクの街歩きとMaiとの初対面、夕方のスコールに響いた歌声

2026年5月12日

初めての海外一人旅も、気づけば終盤に差しかかっていました。
韓国からタイへ渡り、毎日知らない景色の中を歩き回る日々。日本にいた頃には想像もしなかった生活です。

朝起きる場所が海外で、聞こえてくる言葉も読める文字も違う。
それだけで毎日が刺激的でした。

この日は、夕方にタイ人の女性 Mai と会う約束がありました。
それまでは自由行動。バンコクの街を気ままに歩きながら、約束の時間を待つ一日です。

いまの時代のようにスマホで簡単に連絡が取れる時代ではありません。
待ち合わせに遅れれば、それだけで会えなくなる可能性もある。だからこそ、一つ一つの約束が少し特別でした。

そしてこの日の思い出として強く残っているのは、観光地よりも、突然の雨と、その雨宿りの時間でした。

朝のバンコク、今日も蒸し暑さ全開

朝、目が覚めたのは9時過ぎでした。

旅先ではもっと早起きするものかと思っていましたが、連日の移動と暑さで思った以上に体力を使っていたのか、自然と寝坊気味になっていました。

カーテンを開けると、外はすでに強い日差し。
道路には車があふれ、人も絶えず行き交っています。

バンコクの朝は、日本の朝とは違いました。
爽やかというより、朝からすでに完成された暑さです。

じっとしていても汗ばむ。
エアコンの効いた部屋から一歩外へ出ると、むわっとした熱気が身体を包みます。

顔を洗い、軽く準備をして外へ出ました。

この日の予定は、夕方にMaiと会うことだけ。
それまでは、好きなように街を歩こうと決めていました。

BTSスカイトレインで街を回る

まず乗ったのは、バンコクの BTSスカイトレイン

高架を走る都市鉄道で、当時の自分にはかなり近代的に映りました。

東南アジアというと、勝手にもっと素朴なイメージを持っていたのですが、バンコクはすでに大都会でした。高層ビル、ショッピングセンター、渋滞する道路、巨大な看板群。そこに高架鉄道まで走っている。

「タイってすごいな」

率直にそう思いました。

車内は冷房が効いていて快適。
外の暑さとの温度差が激しく、乗るたびに少し生き返る気分でした。

窓から見える景色は、ビル群と雑多な街並みが入り混じる独特の風景。
一本路地に入ればローカルな市場、少し進めば大型商業施設。新旧が混ざり合う街でした。

バンコクは歩いているだけで面白い

この日も特別な観光目的地があったわけではありません。

駅をいくつか降りながら、ただ歩く。
それだけで十分に楽しかったのです。

道端で焼かれている串焼き。
色鮮やかな南国フルーツ。
露店で売られるTシャツや偽物時計。
道路脇で昼寝する犬。
バイクで三人乗りする家族。

日本ではあまり見ない光景が、次から次へと現れます。

日本の街は整っていて便利ですが、どこか均一でもあります。
一方、バンコクには予測不能な面白さがありました。

一本路地に入るたび、新しい景色がある。
その雑多さが、旅人にはたまりませんでした。

ルンピニー公園でひと休み

途中、ルンピニー公園にも立ち寄りました。

都会の中心にある広い公園で、木陰が多く、散歩する人やジョギングする人で賑わっていました。

ベンチに座り、しばらくぼーっとします。

こういう時間が、旅では意外と大切です。

観光名所を巡るだけでなく、その土地の日常の空気を感じる。
現地の人たちがどんな表情で歩き、どんな時間を過ごしているかを見るだけでも、その国の印象は変わります。

「自分はいまタイにいるんだな」

そんな当たり前のことを、改めて実感していました。

待ち合わせ場所へ向かう

気づけば午後3時近く。

そろそろ待ち合わせ場所へ向かう時間です。

約束していたのは、伊勢丹周辺。
当時のバンコクで、日本人にも馴染みのある場所でした。

少し余裕を持って出たつもりでしたが、移動にもたつき、到着はやや遅れ気味。

この時代の待ち合わせは緊張します。

いまならメッセージ一本送れば済みますが、当時はそう簡単ではありません。
すれ違えば、それで終わる可能性もある。

人混みの中を見回しながら歩いていると、制服姿の女性がこちらを見て手を振っていました。

Maiでした。

Maiとの初対面

もちろん、お互い初対面です。

少しやり取りをしていたとはいえ、実際に会うのはまったく別の話。
写真も今ほど気軽に送り合える時代ではありません。

「本当にこの人かな」

そんな半信半疑の状態から始まり、笑顔を見てようやく安心する。
昔のネットでの出会いには、そういう独特の緊張感がありました。

Maiは学校帰りだったようで、制服姿でした。
派手さはなく、落ち着いた雰囲気の女性でした。

英語で簡単な会話をしながら、お互い少し照れくさい感じ。
でも、そのぎこちなさもまた初対面らしくて良かった気がします。

ワールドトレードセンター地下でタイスキ

まずは食事をしようという話になり、地下の飲食店街へ。

入ったのは タイスキ の店でした。

タイスキは、日本でいうしゃぶしゃぶに近い料理です。
鍋に肉や野菜を入れて煮込み、タレにつけて食べる。

具材も豊富で、見た目にはとても美味しそうでした。

ただ、タレが辛い。

想像以上に辛い。

私は辛いものがそこまで得意ではなかったので、水を何度も飲みながら食べていました。

Maiは平然と食べています。

現地の人の強さを感じました(笑)。

それでも、一緒に鍋を囲んで食べる時間は楽しいものです。
言葉が完璧でなくても、食事は自然と距離を縮めてくれます。

タイ語を少し教えてもらう

食後、席で少しタイ語を教えてもらいました。

簡単な挨拶や、否定語の使い方など。
タイ語は発音が難しく、声の高低でも意味が変わるそうです。

私が真似して発音しても、うまく通じず笑われる。

でも、それが楽しかった。

旅先で現地の言葉を教えてもらう時間は、観光以上にその国と近づける気がします。

外へ出ると突然のスコール

食事を終えて外へ出ると、空の様子が一変していました。

さっきまで晴れていたのに、黒い雲が広がり、突然の大雨。

南国特有のスコールです。

道路には一気に水たまりができ、人々は慌てず屋根のある場所へ移動していました。

私たちも建物の軒下へ避難。

時間にして午後3時過ぎから4時前くらいだったでしょうか。
まだ明るい時間帯なのに、大雨で空だけが暗くなっていました。

雨宿りの中で響いた歌声

しばらくその場で雨が弱まるのを待っていました。

するとMaiが突然、日本の歌を口ずさみ始めました。

宇多田ヒカルの「Automatic」

当時、日本でも大ヒットしていた曲です。

タイで、タイ人の女の子が、日本語でその歌を歌っている。

なんとも不思議な光景でした。

しかも上手い。

発音も自然で、しっかり歌えていました。

雨音の中で聴く日本の歌。
バンコクの街角でそんな時間が訪れるとは思ってもいませんでした。

観光地の景色より、こういう瞬間のほうが記憶に残るものです。

別れの時間

雨も少し弱まり、そろそろ帰る時間になりました。

Maiも学生で、あまり遅くまではいられません。
私も旅の途中です。

短い時間でしたが、会えてよかったと思いました。

お互い初対面でも、食事をして話して笑えば、それだけで十分な思い出になります。

笑顔で別れ、私はタクシーに乗りました。

タクシーでひと苦労

ところが、運転手がメーターを使わず高い料金を提示してきました。

旅人あるあるです。

慌てて

“Meter, please.”

と伝えると、少し嫌そうな顔をしながらメーターを倒しました。

こういう交渉も、旅を通じて覚えていったことです。

ホテルへ戻って静かな夕方

ホテルへ戻った頃には、まだ夕方の時間帯でした。

部屋に入り、シャワーを浴び、ベッドに横になる。

外では車の音が聞こえ、エアコンが静かに動いていました。

今日一日を思い返します。

街を歩き、タイの空気を感じ、初めて会う人と食事をし、雨宿りをしながら歌を聴いた。

派手な出来事ではありません。
でも、こういう何気ない一日こそ旅の記憶になるのだと思います。

まとめ

7日目は、観光名所よりも人との時間が印象に残った一日でした。

お互い初対面。
言葉も完璧ではない。
それでも食事をし、笑い、雨宿りをする。

そんな時間が、20年以上経った今でも記憶に残っています。

海外旅行の魅力は、景色だけではありません。
そこで出会った人との短い時間こそ、あとから思い返す宝物になるのかもしれません。

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