朝、旅の終わりを迎えたホテルで
2000年9月29日(土)。
ついに初めての海外一人旅、最終日を迎えました。
韓国から始まり、タイ・バンコクまでやって来た今回の旅。数日前まで海外へ出ることすら不安だった自分が、こうして帰国の日を迎えていることが少し不思議でした。
10時近くに目を覚まし、荷物をまとめ始めます。部屋には市場で買ったTシャツ、小物、使い込んだガイドブック、汗を吸った服などが散らばっていました。
旅の途中では気にも留めなかった物たちが、今日はすべて思い出の品に見えます。
「ああ、もう終わるんだな」
そんな寂しさが少しありました。
ホテルを出発し、ホアランポーン駅へ
チェックアウトを済ませ、ホテルを後にしました。
朝からバンコクは蒸し暑く、外へ出た瞬間に南国の空気が体を包みます。ホテル前でトゥクトゥクを捕まえ、ホアランポーン駅へ向かうことにしました。
エンジン音を響かせながら走る三輪タクシー。道路には車が多く、クラクションも鳴りっぱなしです。
露店の準備をする人、制服姿の学生、道端で寝ている犬、果物を売る屋台。
数日前にはすべてが珍しかった景色も、今日は少し見慣れた風景になっていました。
ホアランポーン駅の熱気に驚く
駅に着くと、人の多さに驚きました。
ホアランポーン駅は当時のタイ鉄道の中心地。地方へ向かう人、旅行者、仕事で移動する人など、多くの人で賑わっていました。
切符売り場で空港方面への列車を買うと、その安さにびっくりします。
空港まで約1時間なのに、たった5バーツ。日本円で15円ほどでした。
少し高い席にしようと聞いてみましたが、売り切れとのこと。前日に予約しないと難しいらしく、私は3等席に乗ることになりました。
列車の窓から見えたタイの日常
3等席は簡素な造りで、座席はビニール張りでした。
ですが、不思議と嫌な感じはしません。むしろ旅らしくて良いとさえ思いました。
列車が動き出すと、窓の外にはバンコクの街並みが流れていきます。
市場、住宅街、線路脇で遊ぶ子どもたち、洗濯物が揺れる家々、遠くに見えるビル群。
何でもない景色なのに、ずっと見ていられました。
「世界の車窓からって、こういう感じなんだろうな」
そんなことを思いながら、一人で外を眺めていました。
空港で長い待ち時間を過ごす
空港に着いたのは15時近くでした。
ですが出発便は深夜0時05分。まだかなり時間があります。
今のようにスマホもない時代です。空港で時間を潰すのも簡単ではありません。
ベンチに座る。
売店を見る。
また座る。
少し眠る。
その繰り返しでした。
旅の最後としては地味な時間でしたが、こういう時間も含めて旅だったのだと思います。
深夜、ついに帰国へ
23時頃になり、ようやく搭乗口へ向かいました。
眠い目をこすりながら出国手続きを済ませ、パスポートにスタンプが押されます。
その瞬間、
「本当に一人で海外に来ていたんだな」
と実感しました。
数日前まで、海外経験もなく、不安だらけだった大学生の自分。そんな自分が韓国とタイを一人で回って帰ろうとしている。
少しだけ、自信になりました。
飛行機に乗り込み、窓の外を見ると、バンコクの夜景が広がっていました。
この街の暑さ、人混み、屋台の匂い、優しかった人たち。全部まとめて忘れられない思い出です。
Maiとの連絡が途絶えたその後
帰国後、しばらくはMaiと連絡を取っていました。
ですが、いつしか連絡は途絶えてしまいました。
メールアドレスが変わったのか。生活が変わったのか。自然に離れていったのか。
理由はわかりません。
今のようにSNSで簡単につながり続けられる時代ではなかったからこそ、その時その場所で出会えた縁はとても貴重だったのだと思います。
まとめ
初めての海外一人旅は、不安と失敗の連続でした。
言葉も通じず、道にも迷い、ホテル探しにも苦労しました。それでも、そのすべてが面白かったです。
旅に出る前より、帰ってきた自分のほうが少しだけ強くなっていました。
2000年9月のこの旅は、私にとって人生の大きな転機です。世界は広く、知らない場所へ行けば、知らない自分にも出会える。
そんなことを教えてくれた、忘れられない初めての海外一人旅でした。